映画についての雑感

最新作から、懐かしい80, 90, 00年代の映画の思い出や、その他、海外アニメや小説、ゲーム、音楽などの雑多で様々な芸術作品について

ジュラシックワールド 新たなる支配者 原作ファンによるネタバレあり感想

公開初日に観に行っちゃいましたよ、『ジュラシックワールド 新たなる支配者』。大胆にもシリーズ完結編を謳う話題作ですね。僕はこのシリーズ、原作小説であるマイクル・クライトン*1の『ジュラシック・パーク』『ロストワールド』の大ファンだったこともあ…

アバター 伝説の少年アン レビュー(前編) —子供と一緒に大人にも観て欲しい反戦アニメの傑作

色々あってNetflixで海外アニメ『アバター 伝説の少年アン』を全話観たのですが、これがもう観終わっても何度も思い返す程面白くて、日本での知名度は低いし古い作品ですが、多分ピクサー作品や『スパイダーバース』と同じように、海外アニメだとかカートゥ…

2021年の個人的 ベスト & ワースト

2021年もついに今日で終わりですね。個人的には昨年に引き続き、コロナの影響であまり外に行けないので家で映画やテレビを見ることが多かったな•••という一年だった気がします。という訳で今年のベスト& ワーストという題で、今年、個人的に印象的だった作品…

『紀子の食卓』は今見ても面白かった

園子温はやはり詩的感性がある。そして世の中の朧げな歪みというようなものを感じ取るのが上手い。少なくとも、昔は上手かったと感じた(園子温の近作は見ていない)。前回記事で『愛のむきだし』(2009) を再見したことがキッカケで、当時『愛のむきだし』以…

ミセス・ノイズィ、と愛のむきだし

先日、Netflixで『ミセス・ノイズィ』が配信されていた。公開時に少し話題になっていて、映画評論家などが褒めていた記憶があったので、そこそこ楽しみにしてました。本稿は『ミセス・ノイズィ』、そして園子温監督の2010年の映画『愛のむきだし』についての…

映画監督の短編 : ドゥニ・ヴィルヌーブ”Next Floor”、ニール・ブロムカンプ”Oats Studios”

よく、クリエイターが最初に手がけた作品は作家性を象徴していると言われますが、長編作家の描く短編もまた、作家の特徴が際立ったものになっているのではないでしょうか。以前、クリストファー・ノーラン監督のデビュー作『フォロウィング』と、彼の自主制…

DUNE / デューン 砂の惑星 レビュー (パート2) : 運命論と反出生主義

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督『DUNE / デューン 砂の惑星』レビュー後半です。前半はこちらです。numbom2020.hatenablog.comネタバレなしプレビュー記事はこちら、関連作も紹介しています numbom2020.hatenablog.com 以下、ネタバレありです。 ©️ WARNER BROS P…

DUNE / デューン 砂の惑星 レビュー(パート1) : 母子の物語

未来のビジョン ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の『DUNE / デューン 砂の惑星』という映画は、劇中でティモシー・シャラメ演じる主人公ポール・アトライデスが繰り返し見るような”未来のビジョン”を見せてくれる映画でした。その本来のテーマが完結するだろう続編…

『DUNE / デューン 砂の惑星』 プレビュー : 合わせて観ると更に楽しめる2作品

ドゥニ・ヴィルヌーブ監督の『DUNE / デューン 砂の惑星』・・・1年越しに公開された超期待作を10/15の公開初週にIMAXシアターで観てきて、あまりの傑作っぷりに、それ以来興奮が冷めず何も手をつかない状態になってしまっている。何かデューンについてアウ…

『カジノ・ロワイヤル』から『スペクター』ーーダニエル・クレイグ版”007”の魅力

大変長い間待たされたダニエル・クレイグ版”007(ダブルオーセブン)”の完結編『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ (No Time To Die)』が遂に10/1から公開されました。実はダニクレ版007の長年のファンである僕も当然のことながら、公開直後に観てきましたよ。もう…

ヴィクトル・ユゴーのエスメラルダ、コゼットと”アデルの恋の物語 (1975)”

”アデルの恋の物語 (原題 : L'Histoire d'Adèle H.)”という映画を知っていますか? フランス恋愛映画界の巨匠 フランソワ・トリュフォー監督 (1932-1984) の作品で、『レ・ミゼラブル』『ノートルダム・ド・パリ』などで知られる19世紀のフランスの文豪ヴィク…

ラーヤと龍の王国 : ラーヤは一体何を信じたのか?

ラーヤはディズニーが日本の映画業界とちょっとトラブってるらしく、大手シネコンで上映されない事態に陥っていて、近年のディズニー作品と比べると上映館も広告もすごく少ない。ですが、観た方ならお分かりだと思いますが、ディズニー近作の中でも絵作りや…

シン・エヴァンゲリオン劇場版 : 庵野監督が本当に描きたかったこととは?

度重なる延期の末に遂に公開されたシン・エヴァンゲリオン劇場版を先週の土曜日に見てきました。見終わって暫く経ちましたが、まだ僕の中ではこの映画は一体なんだったのか、庵野秀明監督が何を伝えたいのか良く分かりません。分からないなりに、思うところ…

フォロウィング : クリストファーノーラン監督の長編デビュー作

先日、かなり久々にTSUTAYAでレンタルDVDコーナーをdigっていたら、尊敬するクリストファーノーラン監督の長篇デビュー作であるインディーズ映画、フォロウィングが置いてあったので借りてしまいました。ノーランの作品で唯一の観たことない作品でございます…

ソウルフル・ワールド レビュー : 人生の意味を見つめ直す

2021年最初に観た映画はディズニー・ピクサー合作 ソウルフル・ワールドでした。本来は劇場公開される予定でしたが、Disney+での配信での公開になってしまいました。同じような形で配信のみになった”ムーラン (2020)” と異なり、こちらは追加費用なしで見ら…

クイーンズ・ギャンビット : 破滅的な天才物語の新しい形

天才的チェスプレーヤーであるベス・ハーモンの半生を描くNetflixオリジナルドラマ。原作はウォルター・デヴィスによる”The Queen’s Gambit (1983, 未邦訳)]”。世界63カ国でランキング1位を記録した大ヒット作品。本稿ではネタバレありでこの作品の主人公ベ…

2020年に観て良かった映画 ベスト5

さてでは今年の映画、でありますが、公開作自体が少なかったということや、そもそも僕自身は世間一般の水準で言えば映画好きだと思いますが、劇場で見る新作も多くても年間12本、月換算で1本くらいかな、っていう趣味レベルの輩なので、映画ブロガーの方々の…

テネット(2020)、そしてノーランへの想い

僕はクリストファー・ノーランを尊敬しています。だからこそ、今年公開された”テネット”には違和感や不満を通り越して、軽く怒りすら覚えている。 ©2020 Warner Bros. All Rights Reserved本作の監督クリストファー・ノーランは、28歳の時に仲間と自主制作映…

川上未映子『あこがれ』(新潮社文庫) 感想

元々、川上未映子さんの小説は『乳と卵』しか読んだことなかったんですが、音読したくなるような流麗な文章と、曖昧だけど的を射てる情感描写が結構好きで印象に残ってました。先日、全くの偶然から同著者の『マリーの愛の証明』をAmazonのPrime会員無料で読…