映画についての雑感

最新作から、懐かしい80, 90, 00年代の映画の思い出や、その他、海外アニメや小説、ゲーム、音楽などの雑多で様々な芸術作品について

2021年の個人的 ベスト & ワースト

2021年もついに今日で終わりですね。個人的には昨年に引き続き、コロナの影響であまり外に行けないので家で映画やテレビを見ることが多かったな•••という一年だった気がします。という訳で今年のベスト& ワーストという題で、今年、個人的に印象的だった作品や、感心しなかった作品をご紹介したいと思います。このゆるいブログの趣旨に従って、新作に限らず今年見た旧作、小説、ゲーム、ドラマ、音楽、漫画アニメなどなど。もはや作品名ですらなく、作者だったりしている極めて個人的なチョイスですが、何かの参考にでもなれば幸いです・・・
最低限の内容紹介以外、一応、ネタバレは無しのつもりです。

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カズオ・イシグロ原作 2010年の映画 『わたしを離さないで』
個人的ベスト

順不同です、順位をつけるなんておこがましいので!


まずラインナップにはとくに特徴がある訳ではないんですけど、敢えて言うなら、SF作品が多いなと言う印象です。あと個人的に久々に小説にハマっていた年だったと言うこともあって、小説や小説原作の映画が半分くらいを占めました。映画も結構みたけどあまり印象に残るものはなかったかな、と言うところもあります。昨年は個人的にはゲームがマイブームでTHE LAST OF US PART 1, 2』を筆頭にバイオハザード:RE2』『Detroit』だとかアドベンチャーゲームを中心にプレイしていたのですが、今年はゲームは心に残るものはなかったですね。

ではでは、以下にていくつかの作品について簡単に解説して行きます。まず個人的には今年はカズオ・イシグロとの出会いが最大の収穫だったなーと感じます。食わず嫌いしていて本当に勿体なかった。それもこれも社会現象となった(?) DMMブックスの70%OFFキャンペーンのおかげです。別の記事でちゃんと触れたいと考えてますが、『クララとお日さま』はキャッチーなSFモノ、アンドロイドが登場する近未来モノでありながら、詳細は伏せておきますが、クララとお日さまが扱うテーマは”Humanity”とでも言うような、直球の哲学的命題であり、それが作品中でどう決着するのか、静かな作風でありながら物語に一定の緊張感をもたらしています。フィリップ・K・ディックや、その原作を映画化したブレードランナー的なテーマの現代的な問い直しと言う意味では、同じく敬愛するドゥニ・ヴィルヌーブ監督の映画ブレードランナー2049』を連想する部分もあります。恐らくノーベル文学賞を受賞するキッカケとなっただろう『わたしを離さないで』『日の名残りも最高でした。映画版も楽しく、小説と合わせて2度楽しめましたね。


そのドゥニ・ヴィルヌーブ監督について、今年は彼の新作公開に合わせてそのフィルモグラフィを総ざらいさせて頂き、色々な良い映画に出会えたので良かったな、と感じます。Amazon Primeありがとうってところですね。新作『DUNE / デューン 砂の惑星については当ブログでも取り上げましたが、新作映画と言う意味では文句なしのベスト1ですね。よく映画館で見るべき! ってみんな(僕含め)言ってましたが、先日Youtubeで公開された冒頭10分をスマホで見ても面白かったので、ソフト・配信でも良いので是非見てみて欲しいですね。

↓見終わった直後のライブ感溢れるアホっぽいツイートを貼っておきます。

↓冒頭10分が無料公開中、特にタイトルロールが出るまでは今見ても最高だった

デューンに関しては、冒頭からこの映画の主題と真の主人公が誰なのかが明白に示されており、この監督が古典を現代にて語り直すにあたり、一切のノスタルジーや既存のイメージに頼ることなく完全に新作として作っていることに感動します。また、旧作においても、初期の静かなる叫び』『灼熱の魂』は作家性の塊みたいな作風で衝撃を受けましたし、特に『灼熱の魂』は視聴後にクラクラして寝込みました(笑) こちらだけ、なぜかPrimeでも配信・レンタル共にできなくて、ソフトも絶版になっていて、残念ではあります。

静かなる叫び(字幕版)

静かなる叫び(字幕版)

  • カリーヌ・ヴァナッス
Amazon
灼熱の魂 (字幕版)

灼熱の魂 (字幕版)

  • ルブナ・アザバル
Amazon

『ドント・ルック・アップ』については、想像以上に面白かったので入れておいた。そして素敵なクリスマス映画でもありました。こちらも機会があればちゃんと書きたいと思いますが、世論や感情、人気、声の大きさに揺れ動かされる社会の空恐ろしさをユーモアたっぷりに描いています。コロナウィルスに世界が振り回された今の時代にピッタリの映画でした。ディカプリオのエキセントリックな演技が大好きな自分としてはやや物足りない部分もありますが!

また、すっかり忘れていたので恐縮だけど、今年公開の映画で忘れてはいけないのはクロエ・ジャオ監督のノマド・ランド』ですね。当時にTwitterでも適当に書いたけど、正に映画だな、って思いましたね。善とか悪とかそう言う次元のことを描いていない、事象と人と自然をただ描いている。何を思うかは委ねられているというか。少し似たような世界を生きている人を描いているとも言える大好きな映画&ルポイントゥ・ザ・ワイルドの主人公が、ある意味ではセルフネグレクトとでも言うような、割と孤独に行き当たりばったりに生きていたように描かれていたのに対し、このノマドランドで描かれるのはもっとリアルな生活であり、そういう世界があることを知れたのも良かったですね


また、それ以外で特に触れておきたいのは、2010年代海外アニメの金字塔(だと僕が勝手に認定している)『グラビティ・フォールズ』『アドベンチャータイム』の系譜を汲む新作がリリースされたことですかね。『グラビティ・フォールズ』でライター・エピソード監督等を努めたマイケル・リアンダ(Michael Rianda)が劇場アニメ『ミッチェル家とマシンの反乱』、同じくライター等を担当したシオン・タケウチ (Shion Takeuchi)Netflixアニメシリーズ『陰謀論のオシゴト』をそれぞれ手掛けました。かたやファミリームービー、かたや『サウスパーク』的なブラックジョーク系の大人向けアニメと作風が異なる2作ですが、偶然にも両作品に共通するのは、ギーク(オタク)で飾り気がなく等身大な女性が主人公で、夢を持って生きながらも現実に打ちのめされる様を描いているところ。2010年代以降のカートゥーンシーンに注目している身としては、この世代のクリエイター達を中心に「大人しい」「オタクっぽい」「暗い」「友達少ない」登場人物を、それをいじるのではなくごく当たり前の存在として描いていることにすごく魅力と希望を感じます。今年公開されたディズニーの『ミラベルと魔法だらけの家』でも主人公の見た目やキャラが同じような理由で一部注目されていましたが、個人的にはカートゥーンでは10年代からずっとそういうキャラクターを描こうとしているよ、と声を大にして言いたいです。そして彼ら・彼女らがそう言うキャラを描くのは流行だからではなくて、単に自身のメタファーとして、今まで物語や現実世界で虐げられてきたからこそ、私小説的な意味でもそう言うキャラを描きたいんじゃないかな、とも感じます(想像ですが)。

ミッチェル家とマシンの反乱 | ソニー・ピクチャーズ公式
ミッチェル家とマシンの反乱 | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト

ミッチェル家の予告編改めて見たら、「インクレディブルじゃなくても世界は救える」とか言っていて笑いました。こちらも偶然(?) 陰謀論のオシゴトでも自分たちの家族をインクレディブル・ファミリーと対比する場面があります(インクレディブル・ファミリー』『ミスター・インクレディブル』も別のベクトルで面白い映画ですけど! 特に『ミスター・インクレディブル』は好きです)

予告編

本編冒頭10分公開されてました

陰謀論のオシゴトは本当にオススメ! Twitterでもしつこく書きました(笑)シーズン2やって欲しい。

www.netflix.com

予告編 (英語のみ、本編はもっと面白いですよ)


『アドベンチャータイム 遥か遠い世界で』にも触れないわけにはいかないでしょう。今年公開されたスピンオフシリーズについて、多分賛否は別れるんじゃないかと思いますが、第二話 『固い絆』(原題 Obsidian) を僕は推したい。期待値が低かったせいかもしれないけど、かつての不条理コメディとしてのアドベンチャータイムの雰囲気が蘇っていて大いに笑った。個人的にはあんまりアドベンチャータイムでマーセリンとPBのロマンスだとか、シリアスな展開だとかは好きではない (好きな方ごめんなさい) のですが、このエピソードはそう言うファンサービス的な要素もたくさん描きながら、かつての冷酷(笑)なバブルガムの姿も描かれていて、アドベンチャータイム得意のツッコミ待ちなメタ・物語的な笑いも満載で、ファンにはおすすめです。ミュージカル的な演出もいい。

↓ネタバレありだけど、全曲。”Woke Up”と”Monster”がいい。

予告編

prtimes.jp

最終 第4話が1月に公開されますね



個人的ワースト

さて、公平を期して刺激的なワーストもちょっとだけ紹介しましょう。以下に挙げる作品が好きだった方はごめんなさい。あくまで個人の感想ですので気にされないよう!


こちらは手短に行きます。まずは『ミセス・ノイズィ』については別の記事で触れたので、付け足す必要はないですが、僕はこういう価値観好きくないなぁと言う感想ですね。大変刺激的なチョイスですが『シン・エヴァンゲリオン劇場版』について。敢えてワーストとして入れちゃいました。当ブログでも良くも悪くもない枠で取り上げていますが庵野監督に今の時代に期待する水準ではなかったと言う意味でワースト寄りになるかなと言う感じですね。『破』の方がずっと良かった。そしてエヴァが終わって20年以上も経っているのに、いまだにエヴァ=90年代から進めないと言う、カルチャーシーンの希望の無さを象徴するかのような作品だったと言う意味で、ワーストとさせて頂きました。
キューブリック監督の『シャイニング』を巡る状況を取り扱ったドキュメンタリー『ルーム237』は、映画としては小品としてよく出来ていると思いますが、観て、ただ切ない気持ちになったのでネタ的な意味でワーストにさせて頂きました。映画を作った方々には申し訳ない! PS4のゲームバイオハザード : RE3』は90年代のPSゲーム『バイオハザード3』をリメイクした作品。好評を博した『RE2』の続編でもあります。『3』は僕が学生時代にバイオにハマっていた時にプレイしたゲームで、『2』と『コードベロニカ』の面白さで高まっていた熱狂が一気に冷めたゲームとして記憶しておりましたが、そんなガッカリ感を再現しなくて良かったのに!! マジで。主人公ジルの人間らしいモデリングとかはすごく良いと思ったんですが、中身は全然人間らしくなく、2000年代のプレステの世界から抜け出してきたかのような雰囲気でした。

以上です、最後まで読んでくれてありがとう!
そして今年一年ありがとうございました。




↓昨年2020年(に観た)ベスト映画は•••
numbom2020.hatenablog.com